何かを変えるきっかけを。

その男性との出会いは
1年と少し前。


子どもの頃から知的障害が
あったというその男性は
義務教育が終わると
社会とのつながりを失いました。


両親は 心配して
彼のためにいろいろ
手を尽くしたそうです。
でも、上手くいかずに
家族以外と 交流する機会が
ないまま数十年。

その男性は70歳をすぎています。
彼のことを包み、守ってきた
ご両親が他界したのち
今はお姉さんの家で暮らしています。

2019年の暮れに
ひょんなことから体調をくずし
入院することになりました。
自宅から外の世界は
男性にとって
“恐怖”そのものだったのでしょう·····

話すことも、食べることも
ベッドから降りて
トイレに行くこともできず
震えていたそうです。
最低限の治療を済ませ
早くに家に戻した方が良いと
医師が判断したため
病院のソーシャルワーカーさんから
相談を受けました。

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小規模多機能でどんな支援を·····

男性の生活歴をスタッフで共有し
支援の方針を固めました。
短期目標は?
長期目標は?

落ち着いたトーンで声をかけること。
返事がなくても いろんな話題を
ふってみて本人の興味を引き出すこと。
無理強いはしないこと。
明るく笑顔を心がけること。

(*´ω`*) (˶・ᴗ・˶) ( ◜ᴗ◝) (◜ᴗ◝ )


もしこの先
介護者であるお姉さんが
高齢になり、ケガや病気で
一緒に暮らせなくなったら·····
この男性は いずれ
施設に入ることになるでしょう。
その時に
対人恐怖症が克服できていなければ
また震えて過ごすことになる。


長期的にみても
小規模多機能での関わりは
大きな意味があると感じていました。


とっかかりは
男性が安心できる自宅に訪問し
週に2回の、入浴のお手伝いから。
支援にあたるのは
3人の女性スタッフに限定しました。

初めは目も合わせず
介助を受けているあいだ
小刻みに身体を震わす男性。

少しづつ。少しづつ。
慣れてきたのを感じた。

スタッフの他愛もない話しに
笑ったり、目を合わせて話すように
なってきた。

3人の女性スタッフが日替わりで
訪問していたため 戻ってくると
「今日はどーだった?」と
根掘り葉掘り 聞かせてもらう日々。

どんなおしゃべりをしたとか
どんなことが好きそうだとか。


3ヶ月を過ぎたころ。
お姉さんと相談して次のステップに。

ガーデンコート船橋三山のお風呂は
大きくて気持ちいいんですよ〜
という話しをしてみる。

ウンウンと頷く男性。
興味を持ってくれたみたい。

そこからも数回、
軽くジャブを入れながら
ご本人の反応を見ていきました。

ある日。
男性の様子から
今日はイケる!と感じたスタッフは

「今日、ガーデンのお風呂
行ってみましょうよ!〇男さん 」

きっかけを作ってくれました。

事前に連絡を受けていた
他のスタッフは笑顔で出迎える。

「〇男さーん お待ちしてました!」
「こんにちはー」
「お風呂の準備できてますよ〜」

大きな1歩を踏み出した気がしました。


あれから1年。

今では週に2回
休まずにガーデンに通います。
「今日は学校の日」だと言い
朝から準備をしているそうです。


スタッフからの誕生日プレゼント、
手作りキーホルダーは
通学カバンにぶら下がってます。
気に入ったようで『ほら!』と
今日も見せてくれました。


年末最後のご利用日には
私を探して歩み寄ってこられ
「今年はお世話になりました」と
笑顔で言ってくれたんです(o^^o)♪


自分のことを理解してくれる人がいる。
自分を受け入れてくれる場所がある。

男性が、そう感じ
心を開くきっかけになったのなら
こんなに嬉しいことはありません。


数十年ぶりに
社会との関わりを持つことができた
この男性のケースは
小規模多機能型居宅介護の柔軟性と
チームケアが功を奏した
ステキな一例として
記憶に残ると思います (* ¨̮*)/(*¨̮ *)/