私、帰ります。


4年前の6月。
小規模多機能にひとりの女性が
やって来ました。




当時はまだ70歳代。
どこまでも歩くことができる
丈夫な足腰と
深くて強い
認知症の症状をもつ女性。

お問い合わせを受けたとき
強い興奮と錯乱状態で
階段から転落し
足に大ケガをしているとの情報…(°д°)

(((;°▽°))(・・;)( ;●д● )(o´Д`)=з


このケースを受けるには
サービス事業所として
“それなりの覚悟”が
必要だと感じ
所長、主任らと話し合いました。

この女性が安全に
落ち着いた気持ちで
過ごせるようになる日は
いつかきっと来る。
でも…
来たその日から
嵐のような日々になるよ。
マンツーマンは想定内。
そうなると
現場のスタッフだけでは
どうにもならない。
事務所も総出で対応にあたる
その“覚悟”が必要になると思う。
でもココのスタッフなら
イケると思うんだよね。
どうする?受ける?

そんな話をした記憶があります。

所長は…というと
『よし、みんなで
力を合わせて頑張ろう!』
とニヤニヤしながら
言ってたような(^^;

それからの日々…

「私、帰ります」が
始まると それはもう…
玄関前に張り付いて
開くのを待ってる。
何を言っても耳に入らない。
エキサイトしてくると
ガラス扉を叩く蹴る。
カバンも振り回して怒ってる。


来客のあとに
扉が閉まりかける一瞬、
ダッシュで外に飛び出した
真夏の炎天下。
付き添ってくれたのは
当時の主任さん。
何とか説得して連れ戻したい…
その一心で
4時間をともに歩いた。

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あの時ニヤニヤしてた所長も
夜な夜な続く
行き場のない訴えに
遅い時間まで
付き添ってくれました。

今日まで
書ききれないほどの
エピソードはありますが
ガーデンのスタッフ全員が
この女性への声かけや対応を
上手にしてくれるように
なったこと、
専門医への受診により
お薬の調整がイイ感じに
できたことで
おだやかな気持ちで
過ごせるようになってきました。

昨年の秋にグループホーム
部屋に空きがでて
そのまま入居。

あの日々はムダではなかった。
スタッフの力を信じて
間違ってなかった。
言葉ではどうにもならない時
「大丈夫よ」って
抱きしめるスタッフもいました。

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それでも今だって…

パタパタパタパタ💨
夕方になると
特徴のある足音が
事務所に近づいてきます。

ノックはしません。
勢いよく扉が開く…

それ来た。

『私、帰ります!』